UTダラスのクロウ美術館、ニューディール期の美術75点 90年しまわれていた作品も

日本の歴史の授業では、ニューディールは世界恐慌への対策として、テネシー川流域の開発のような公共事業を中心に習います。ところが米国では、画家や彫刻家、布を織る女性まで「仕事を失った労働者」として国が雇いました。ダムや道路と同じ枠で、芸術が雇用対策に組み込まれていたわけです。
ダラスで暮らしていると、その痕跡を知らずに目にしています。ステートフェアの会場フェアパークの建物群、ケネディ大統領暗殺の現場として知られるディーリー・プラザ、州内各地の郵便局の壁画も、同じ時代の産物です。今年フェアに行った方は、この展示で「あの建物がなぜあそこにあるのか」がつながります。会場はPlanoからも近いリチャードソンです。
記事の要約
UTダラス(リチャードソン)のクロウ・アジア美術館(Crow Museum of Asian Art)で、1930年代のニューディール期に作られた美術を集めた展覧会「New Deal Texas and the West」が開かれています。フェアパークの象徴的な建物群を生んだニューディール政策から90年になるのを記念した企画で、会期は来年7月18日までです。
展示は絵画、版画、彫刻、テキスタイルの計75点で、多くはダラス美術館(DMA)の所蔵品です。DMAは事業が終わった1943年に2回に分けて75〜90点を割り当てられましたが、作品は箱に入れられて地下にしまわれ、約90年間ほぼ表に出ていませんでした。今回が初公開となる作品がほとんどで、裏に「連邦政府の財産」と押印されたものもあります。
キュレーターはUTダラスの美術史教授エリカ・ドス氏。ニューディールはルーズベルト大統領が世界恐慌後の1933〜1943年に進めた雇用対策で、芸術家も「労働者」として雇われました。ジャクソン・ポロックもこの事業で腕を磨いた一人です。
会場では、未熟練の女性を訓練して布の版画や織物を作らせ、3,000人を雇ったミルウォーキーの手工芸事業や、1938〜39年の郵便局壁画コンペを伝える『ライフ』誌も紹介しています。テキサスの郵便局壁画にはカウボーイを描いたものが多く、クーパー(Cooper)の壁画が見どころの一つです。